震災の日に思う メディアのプロとは

2年前の、3月11日、遠藤未希という若い女性が、震災による津波で亡くなりました。24歳でした。

未希さんは、宮城県南三陸町の防災担当の職員で、津波にのまれる寸前までマイクを離さず、「大津波警報が発令されました。高台に避難してください」と 呼びかけ続けました。その声のただならぬ様子に脱出を急ぎ、助かった人が何人もいるそうです。天使の声と後に呼ばれることになる未希さんの声は、 最後の方は震えていました。押し寄せる津波の恐怖に彼女もおしつぶされそうになっていたのでしょう。彼女は、半年後に幸せな結婚を控えている身でもありました。

未希さんは防災無線という、当時唯一有効に機能していたメディアの担当者として、十二分に役割を全うしました。介護を志していたが、両親の希望により、町の職員になったという未希さんの両肩にあのときかかった重責は、理不尽といってもいいものでしたが、彼女はひるまず、逃げませんでした。 彼女が生きていたら成し遂げたであろうすばらしい仕事、築き上げた幸福な家族、それを思うと残念でなりませんが、とにかくも立派だったと思います。ご冥福をお祈り申し上げます。

その一方で、逃げ出し、メディアとしての責務を放り出したクソ野郎もいます。震災3日後の3月14日、原子力安全・保安院は、福島第一原発三号機 が水素爆発したのを見届けると、すたこらさっさと50km離れた福島県庁まで逃げ出しました。風下にあるどの町・村でも脱出どころか、荷造りも完 了していない時期にです。wikiによると、彼らの任務は、下記のとおりでした。

1. 原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに発電用原子力施設に関する 規制その他これらの事業及び施設に関する安全の確保に関すること。
2. エネルギーとしての利用に関する原子力の安全の確保に関すること。
3. 火薬類の取締り、高 圧ガスの保安、鉱山における保安その他の所掌に係る保安(以下「産業保安」という。) の確保に関すること。
4. 所掌事務に係る国際協力に関すること。
5. 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき経済産業省に属させられた事務

1、2項に、エネルギーとしての利用に関する原子力の安全の確保に関することときちんと記してあります。彼らは、原子力の専門家として、原発の危機を正しく国民に伝え、現場に助けが必要だったら、それを国に要請する責務がありました。才覚も勇気も根性もないごみ共が、分にあわぬ高給をも らっていたのは、ひとえに原発に危機があれば、それを最前線で監視し、国や国民に知らせるというメディアの役割を担っていたからです。それが、 あっけなく職場放棄し、逃げ出したのでした。住民に出された避難指示命令の30km圏外よりもはるか遠くに。そして、戸棚の下に隠れるねずみのように、福島県庁という安全地帯に引きこもったのです。

遠藤未希さんという若く美しい女性が、あのとき見せた、勇気と根性、気高い自己犠牲、崇高なプロ精神は今後学校の教材として取り上げられていくのそうです。でも、 それだったら、彼女より何倍もする高給を受け取っていながら、責務を放棄した、ゴキブリのように脂ぎった40代、50代のクソ親父、クソ爺どもの 卑劣さ、矮小さも、反面教師として追求され続けなくては片手落ちかと思います。彼らは、いかなる人間集団でも最も忌むところの、「やるべきことを分かっていながら、やらない奴」でした。

はゆまも、メディアの端っこで、お金をもらうものとして、遠藤未希さんの姿勢にはあやかり、原子力安全・保安院の愚劣さについては他山の石とせねばなりません。なので、原子力安全・保安院のおじさま、おじいさまたちには、日本の立派な男だったら憤死しかねない、最大級の罵倒語を浴びせたいと思います。

「卑怯者が」

震災により亡くなられたすべての犠牲者の方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、傷跡の残る被災地で苦しい生活を送る方々、慣れぬ土地への移転を余儀なくされた方々、被災されたすべての皆様にお見舞い申し上げます。一日もはやい復興が実現されんことを。

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プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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