いよいよ

エージェントの方から、本のイラストのラフがまとまってきた、と連絡がありました。

自分の本ですが、著者校は先週終え、もうあとは編集者さん、漫画家さん、デザイナーさんの仕事になっています。かれこれ三年携わり、その間、恐らく百回は見直したんじゃないかという小説ですが、その作業ももう終焉を迎えつつあるようです。

小説が完成するのはどのタイミングなのでしょうか?

カートヴォネガットの「あおひげ」のなかで、登場人物の作家が、推敲に推敲を重ね「もう二度と見たくない」というくらいになったときが小説が出来上がるときだと、言う場面があります。うろ覚えですが、多分そんな感じです。

それはそれで一つの見解ですが、はゆま的には、小説が完成するのは、推敲を終え、作者が筆を置いたときではなく、読者がテキストを読み、その頭の中でなにか物語世界が構築されたときだと思っています。テキストだけ出来、机の上に置かれていても、それはプログラムのソースと同じで何も価値はなく、それが人の頭にインストールされ、解釈・コンパイルされたときに初めて価値を産む、とそう思っているのです。

人に自分の作品を読んでもらうと、自分が思いもしなかった反応が返ってくることがよくあります。でも、作者が考えていなかったから、その解釈は誤りということは決してなく、読者がテキストをきっかけに、自分自身の経験と考えに基づいて、立ち上げた世界は全て真実です。テキストまでの距離は、作者と読者で等距離だと思うのです。

読者の言葉から、想定していなかった作品世界の広がりを感じるとき。そのときに、あぁ、この作品は自分の手から離れたと、一抹の寂しさを感じるとともに、やり遂げたという達成感を味わうことができるのでしょう。

どうか色々な人の手元に届き、様々な世界を見せてくれますように。

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三国志連載小説
花武担 花武担
プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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