二代目猫

名前をつける間もなく、脱走した一代目猫に代わり、二代目猫が我が家にやってきた。

もちろん、近くの公園で再び拾ってきたのである。

今回は、前回キャリーの外が丸見えだったため、猫ちゃんを怖がらせてしまった反省を踏まえ、目隠し用の半透明のビニール袋を持って行くことにした。さらに肩掛け用のバンドもキャリーに取り付ける。前は、持ち帰る時、両手だけでキャリーを支えていたため、結構揺らしてしまったのだ。このことも、猫ちゃんの心をあんなにも閉ざしてしまった原因になっていたと思う。

寒くないように、キャリーのなかに敷くタオルにはホッカイロもはり付け、勿論、餌にまたたびも持って行く。前回をはるかに越える充実した装備のもと、公園に向かう。

早速、木の根元にたたずむサビ猫を発見すると、近寄ってキャリーの蓋をあける。そして、猫がじりじりと近づくのを待っていたところ、おばちゃんに話しかけられた。公園によくいる猫の餌やりおばちゃんだ。

「どうしたの? ひょっとして、その子もらってくれるの?」

「はい、そのつもりです」

「あら~、ソマリちゃんよかったわね」

言うがはやいが、おばちゃんは、ソマリの首根っこをつかみ、キャリーのなかに押し込んだ。

「さっ、はやく閉めて」

目にも止まらぬはやわざである。なんとか脱出しようとするソマリとかいう猫の引っ掻き攻撃を、結構くらっているのだが、おばちゃんは動じない。

「あ、ありがとうございます」

礼を言いつつ、蓋をしめる。とんとん拍子に話が進んでしまった。おばちゃんが登場してから、猫をキャリーに入れるまで五秒もかかってないと思う。

「この子は2年前くらいに捨てられてきてね。避妊手術済みのメス。飼い猫だったから、性質も大人しいし、人によくなつくわよ。優しい人に拾われてよかったわね。ソマリちゃん」

キャリーを、目隠しのため、ビニール袋で包む間、おばちゃんがソマリの生い立ちを教えてくれた。餌やりの人達は、横のネットワークもあるため、本当に猫に詳しい。興信所並である。

「3LDKだったら、あと一匹くらい飼えるんじゃない? 今年の冬は寒いでしょ? 冬を越えられない子も出てくるだろうし、出来たらたくさん拾っていってほしいんだけど」

有り難い言葉だが、一匹の世話だけでも大変だ。また、余裕が出てきたらということでお茶を濁し、丁重にお礼を言ったあと、立ち去った。去り際、おばちゃんが、「ソマリちゃん、幸せにね~」と声をかけてくれた。

……で、写真が現在のソマリの状態である。完全にリラックスモード。膝の上で寝たり、こたつのなかでヌーディストビーチのフレンチ娘のように仰向けになり、遠赤外線を浴びたりしている。たった一日で完全に野性を忘れてしまった。

太学時代、寮のアイドルだったが、自治会の連中に保健所に連れ去られ、非業の死を遂げた猫がいた。メスにも関わらずニャオスケといった彼女と、ソマリは毛並みがそっくりだ。そこで、ソマリの下に彼女の名前も追加し、ソマリ=ニャオスケと命名することにした。これからよろしく、ニャオスケ。

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プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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