お茶漬けの味

クリスマスらしいことは、金曜と土曜にしたから、今日はイルミネーションに飾られた世間に背を向け、一人牡蠣鍋をつつきながら、小津を見る。

お茶漬けの味。

厳格な父親役の多い佐分利信が、優しく包容力のある夫を演じ、木暮実千代が恐妻役を演じている。小津といえば必ず出てくる笠智衆はいつ頃出番かな~と思ってたら、パチンコ台の裏からベレー帽被って出てきて、お茶を吹き出しそうになった。佐分利信の戦友という役どころだったが、こういう役でもやっぱり笠智衆は笠智衆。朴訥な訛りで歌われる軍歌がしみじみと心に染みた。

序盤、木暮実千代と友人達が旅先の旅館で、佐分利信のことを「どんかんさん」と揶揄しながら、鯉に餌を投げるシーンでなぜか心を抉られるような思いをしつつも、終盤の海外勤務をきっかけに和解した夫婦が、寄り添いあいながら台所で、お茶漬けを作る長回しのシーンが、そこはかとなくよかった。手を洗う妻の袂を持ってやる夫、ぬか漬けを切る妻の美しい手元、何度もかけあいあう「ありがとう」という言葉、老練な俳優同士の立ち回りは、舞を見るように美しいものでした。

しかし、まったくどうでもいいことだが、当時は、パチンコ、ラーメン、競輪が立派なデートコースだったのですね。旅立つ佐分利信を見送る羽田空港が、一面の荒野にしか見えないことといい、純朴で、幸せだった日本から、思えば遠くにきたものです。

それにしても、お茶漬けの英訳って、Green Tea over Rice なのか、他に何かなかったものか。sukiyakiが国際語になるんだから、そのままocyadukeでもいいような気もするんだが……

にほんブログ村 小説ブログ 小説家志望へ
にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

この記事へのコメント

トラックバック

URL :

三国志連載小説
花武担 花武担
プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ご意見、ご感想はこちら。必ず返信します

名前:
メール:
件名:
本文:

works
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR