「晩春」「秋日和」

小津定番の親娘もの「晩春」「秋日和」を見る。

やっぱりいいなぁ、小津。号泣するとか、泣き咽ぶとかいうように、激しく情感をゆすぶられるわけではないけど、気づくとほんのり胸の奥に温かいものが満ちている。小津の作品にはそんな力がある。

両方とも娘を結婚させるために、自力他力の違いはあれ自分の再婚話を進める親の話だ。1949年の「晩春」では父親役を笠智衆、娘役を原節子、それから11年後の1960年の「秋日和」では母親役を原節子、娘役を司葉子が演じている。

やや頭の固い娘が進歩的で活発な友人に諭される構図、結婚前の二人きりでの最後の旅行で娘が親へのコンプレックスを克服するシーン、そして娘を嫁に送り出した後一人ぽつんと部屋に残された親の姿でしめるラストなど、両作には幾つも共通点がある。

自分が一番印象深かったのは、娘の成長をうながすことになる友人だ。彼女が象徴しているものは、きっとアメリカ式の明朗な個人主義なのだと思う。 日本的なウェットな家族関係にとらわれている娘を、解き放ち自立させる役目を彼女は負っている。だが、両作とも、この友人が娘に、父母が親である 前に一人の男、女であることを気づかせることが、娘の自立のきっかけになっていながら、最終的にどちらの作品でも父は父であること、母は母であり 続けることを選択する。

そうして孤独になった親にラスト直前「私これから何度も寄らせてもらうわね」と声をかけるのもまたこの友人なのだ。

日本的情感とアメリカ的明朗さ、この二つの融和を小津は目指していたのだと思う。そして、だからこそ、小津の作品はエンタメの王道を行く黒澤と並び、世界に通じる普遍性を手に入れることが出来たのだろう。

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黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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