グッドウィルハンティング

仲の良い友人に対し、突然何を話せばいいか分からなくなった経験は、誰にでもあるかと思います。昨日まで屈託なく付き合えていたのに、急に距離を感じてしまう。段々、疎遠になり、やがて道で会っても、会釈する程度の仲に。

小学校のとき川原の葦を束ねて一緒に秘密基地を作ったあの友達、中学校のとき真夏にとんでもない距離を自転車でこいで冒険したあの友達、大学時代同じ寮の部屋を借りて毎晩毎晩あきもせずふざけあったあの友達。もうみんな、連絡先すら分からない。

でも、それは友情がもろかったからではないのだと思います。

深沢七郎さんの美しい言葉に下のようなものがあります。

「友情は季節に咲く花のようなものだと思っています。季節が終われば花は枯れる。そこを立ち去って次の花に出会うだけだ」


また、スティーブンキングのスタンドバイミーにも、

「友人というものは、レストランの皿洗いと同じく、ひとりの人間の一生に入り込んできたり、出ていったりする」


はゆまもきっと、誰かの人生のなかで一時期席を占め、そして出ていったことがあるのでしょう。誰かの心のなかで、散った花として懐かしく思いだされることがあるのだと思います。

タイトルのグッドウィルハンティングもまたそうした友情の循環を描いた映画です。

ウィルの天才という設定には特にこだわる必要はないと思います。あくまで、この作品のテーマは男同士の友情です。

ウィル(マットデイモン)とショーン(ロビン・ウィリアムス)の交流で友情の誕生を、ウィルとチャッキー(ベン・アフレック)の別れで友情の終わりを描いています。

チャッキーがウィルに自分達のもとを去ることを促すシーンは印象的です。

「20年経ってお前がここに住んでたら俺はお前をぶっ殺してやる。お前は俺たちとは違う。お前は自分を許せても俺は許せない。俺は50になっても工事現場で働いていてもいい。だがお前は宝くじの当たり券を持っていて、それを現金化する勇気がないんだ。お前以外の皆がその券を欲しいと思ってる。それを無駄にするなんて俺は許せない。」


時に誰かが成長するためには、友情を捨て去らなくてはならないことを、この言葉は示唆しています。

無論、一度終わった友情が、そのまま永遠に失われたままなのかというと、そうではありません。かつて親友でありながら、功名心に対する考え方の違いからたもとを分かった、ショーンとランボー(ステラン・スカルスガルド)の葛藤と和解で友情の再生も、またこの作品は描いています。

一度散った花びらの下から、また咲きほころぶ花もまた格別に美しいのでしょうね。

もうすぐ正月。帰省の際に会う、故郷の友人達が懐かしく思い出されるはゆまなのでした。

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黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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