蛮族たち

ドーリア、スキタイ、キンメリア、ゲルマン、ガリア。匈奴、犬戎、西羌、狄、東胡。

東西どちらの文明でも蛮族とされた民族の名称ってとげとげしく、いかにも洗練されていない響きで聞こえるから不思議だ。特にゲルマン民族のなかでも、キンブリ族、テウトネス族なんかは、もう蛮族以外の何ものでもないって感じで素敵。

実ははゆまはこの蛮族達が大好きだ。

迷信深く、考えは足りず、憎愛いずれにも血が濃く、幼児のように光ものを好み、何よりも命知らず。

ゲルマンの黒い森で、ウクライナの金色の草原で、シベリアの凍てついたタイガで、大漠の熱い砂漠で、チベットの高原で、大興安嶺の密林で育まれ、飢饉や、カリスマ的な英雄を持ったことをきっかけに、怒濤の如く中国やローマといった文明地帯に押し寄せる彼等。中国の長城やローマのレギオンに、巌に砕ける波のように、敗れ去ることがままあっても、蛮勇が知恵を、感情が理性を、野蛮が文化を上回り、取り澄まし穢れた文明を血で洗い清め、新たな秩序を打ち立てる。

その最後の例が、明清革命だったのだろう。それ以降、先述の蛮族の揺籃地は皆文明の光源のさらすところとなった。世界史的には進歩だったのだろうが、歴史書をひもとき、今はなき彼等の名前を見つけると「歴史は寂しくなったな」と極東のまつろわぬ蛮族、倭族の末裔は思うのだった。

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三国志連載小説
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プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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