お金の産まれる場所

お金の産まれる場所に行ったことがありますか?

はゆまはあります。

昼間のお仕事の関係で桜の通り抜けを過ぎ造幣局に行ったのですが、それは本当に何というか、非現実的というかシュールレアリスムな体験でした。

そもそも要件自体がシュール。

お金を作るのに幾らお金がかかるかを把握したいという、原価管理システムの設計開発のお仕事だったのです。

明治浪漫という言葉を連想させる門を潜って、工場に入ると、まず人がほとんどいません。持ち逃げを防ぐためということでしたが、ここまで人がいない、シンとした工場というのは初めてでした。ただただ、ガラス張りの向こうで、様々な工作機械が黙々と動き、お金を打ち出していきます。世界が終わった後も、無言で打刻を続けていくんじゃないか、そんなことさえ思いました。

「作業工程で、人が関わることはほとんどありません」

担当者の方の言うことを聞きながら、じゃぁここの人は何して働いてるんだろうと思っていると、終業のチャンネルが鳴ります。そうすると、出るわ、出るわ、いかにも毛並みの良さそうな人達が、爽やかな笑顔で退社していきます。何でも、残業はほとんどなく、社内サークルも盛んなので、局所有のテニスコートで一汗流していく人も多いとのこと。まるで、ソ連のプロパガンダ映画のような話です。レーニンやスターリンが夢見た労働者の天国は、こんなところ、資本主義の最も進んだ国の、そのまた聖地のような場所にあったのですね。

さて、結局、この時の仕事は要件定義だけで、そこまで深く関わらなかったのですが、お金というのは、本当にシュールというか不思議なものだと思います。例えば、冒頭の原価管理の仕組みでいえば、実は一円玉を作るのには一円以上のお金がかかります。多分四円くらいだったと思います。

また、現在のアルミ市況は1gあたり1.7円ですので、もし皆さんが一円玉を一万円分集め、それを溶かしてイゴットを作り、売り飛ばせば一万七千円の価値になり、利益を得る事が出来ます。もちろん、その後、おまわりさんがやってきて逮捕され、ついでにはゆまままで逮捕されますので、絶対やってはいけませんが、お金というのを突き詰めて考えていくと、こんな風にシュールなことになります。

結局、お金というものは大きな嘘というか幻想に基づいたものなのですね。そのため、国はこの嘘を暴かれたり、ちゃかされたりするのを異常に嫌います。実際、昔、ミスターマリックというマジシャンがテレビのなかで硬貨に穴を空けたところ、即座にトリックを見破られ、警察から厳重注意を受けたそうです。ミスターマリックは元々は超能力者という触れ込みでデビューしたので、「ハンドパワーです」と言ったそうですが、一顧だにされなかったというところに、国の本気度が伺えますね。

また、この話は、お金の価値を保証するもの一つとして、国からの強制力・暴力というものが、まぎれもなくあるということを示しています。

今、アメリカがデフォルトするかもと心配している方も多いと思いますが、決してしません。アメリカは世界最強の軍事力、つまり暴力を所有した国です。国家は色々と忙しく嘘をつきますが、お金がお金であるという、このフィクションだけは、いかなることがあっても守るはずです。多分、来週には普通に方がつくんじゃないかな。

無論、アメリカが将来その力を失ったとき、ドルがどうなるかについては、また別の話になりますが……

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プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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