マレーシアに出張したり、所属する著作権エージェント会社のアップルシードさんの13周年パーティに参加するために東京に行ったりと、このところ何かとバタバタしている。

忙殺というか心休まるときがなくて、わずかな空いた時間に部屋でぼーと虚脱状態になっていることもあるのだが、ブーチンの「ニャン」という鳴き声にはっと救われる。猫といえば、マイペースで身勝手というイメージが強いが、実は猫は相当に人の顔色を読む。

人間は自分では分からないが、感情によって、発する匂いや皮膚の味が変わるらしい。だから、猫は匂いを嗅いだり、舐めたりして、飼い主がどういう精神状態にあるかを必死で読み取ろうとする。大声で笑ったり、泣いたりしている人のことは嫌いだが、声もなく涙にくれる人を見るとき、猫の心はとても優しくなる。顔を押し当て、手を舐め、何とかして涙を止めようとする。

考えれば、リビアの砂漠で放浪の旅を続ける人類の前に、この美しい種族があらわれ、友人の契約を結んで以来、どれほどの裏切りが重ねられてきただろう。投石機で城塞に投げ入れられたり、魔女の手先と濡れ衣を着させられて手当たり次第に虐殺されたり、動物実験のために美しい毛並みに硫酸を塗られたり……身勝手なのはどちらの種族の方だったのだろうか。シンプルで何の裏表もない猫の愛情に対し、いかほどのものを人類は返したというのだろうか。

夜はすっかり秋めいてきた。膝の上にブーチンの温もりとささやかないびき。有り難いなと感じつつ、ふとそんなことを思った。

ブーチンこたつした

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黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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