日本の男をレディーファーストにする方法

「日本の男は海外と違ってレディーファーストじゃない」

以前、年配の女性からこう言われたことがあります。日本の男としてはなかなか耳に痛い限りで、普段なら、

「本当にそうですねぇ。困ったもんです。僕たちも努力しているんですがねぇ。むにゃむにゃ」

程度でお茶を濁すのですが、その時は、酒も入っていたこともあり、つい言い返してしまいました。

「確かにそうですが、結局、日本の男は皆、日本の女のお腹のなかから生まれてくるのですよ。日本の男が育児に協力的じゃないということは、逆に言えば、日本の男をいかようにも、育てることができるということじゃないですか。自分の腹で産み、育てた日本男児が、レディファーストじゃないというなら、それは、もう日本の女の責任なんじゃないですか?」

今、振り返ってみると、誠に汗顔のいたりで、人生の先輩に対して、大変無礼な口をたたいてしまったものです。が、幸いなことにその方も出来た人で、こう言って、はゆまの言葉をある程度、受け入れてくれました。

「そう言われてみれば、そうねぇ、私も自分の息子をちゃんと女性を敬うように育てたかしら。蝶よ花よで、甘やかして育っててしまったような気もするわ」

さて、はゆまの持論として、基本的に人を変えることは出来ません。なので、今から成人した日本の男をレディーファーストにしようとしても不可能です。

また、西洋式のレディーファーストは、かつて女性が争った末の戦利品だった時代の名残が濃厚に残っているので、単純に真似るのもどうかと思います。日本には、日本ならではのレディーファーストを作らないといけないと思うのですが、そのヒントとなる友人がいます。

大学からの友人なのですが、その子は本当にレディーファースト。しかも、上辺だけ真似ている人たちと違い、嫌味がなく、男の目から見ても、爽やかなのです。料理も大変に得意で、顔立ちはさほどイケメンというわけでもないのですが、女性からは嫌というほどもてていました。

そうした態度がどこから出てくるものか、ずっと不思議に思っていたので、ある飲みの席で思い切って聞いてみました。すると、彼は、やや照れくさそうに、

「実は母が足が不自由でね。それで、子供の時から介添えをしていたんだ」

彼の母親は軽度の身体障害者だったのです。その上、故あってシングルマザーで、女手一つで彼のことを育てていました。そのため、彼は物心ついた頃から、母親が出勤する度に、特別仕様の車まで介添えし、運転席を開け、座らせてやるというところまでやっていました。

もちろん、帰ってきたら駐車場までお迎えします。雨の日も、風の日も。

別に送り迎えだけでなく、日常生活のなかで、母に助けが必要なときは、自然に体が動くようになっていたそうです。小学生も高学年になり、火を扱えるようになると、料理も一つずつ覚え、洗濯も掃除も自分でできるようにしていきました。それで、中学の頃には、家事ならほぼ全て任せられるようになり、母親は仕事だけに専念すればよいようになっていました。

なんでも、かんでも、母親任せで、いわゆる蝶よ花よで育てられたはゆまたち、一般の日本の男と比べ、何たる違いでしょう。

「母さんのことが好きだったからね。別に大変なことをやっている気なんてなくて、全部自分にとっては当たり前のことだった。だから、女の子が困ってたりすると、助けてやろうって体が勝手に動くんだ」

後に彼は本当に美人で気立ての優しいムスメさんと結婚しますが、その式場で、「母親としていたらぬところが多かったと思う。ごめんなさい」と泣いて謝る母親と、「こんな素敵な人に育ててくれてありがとう」とこれまた泣いて感謝する嫁が抱き合う場面では、涙を流さぬ人はいなかったそうです。

先にはゆまは、人を変えることはできないと言いましたが、育てることはできると思います。

世のお母さん方、日本の男について愚痴る前に改めることがあるのではないでしょうか。

自分が洗濯や掃除をしているときに、息子が寝転がってゲームしているのを許したりしていませんか?蹴飛ばしましょう。

仕事で疲れて帰ってきたのに、ねぎらいの言葉の前に、ご飯を要求されたりしていませんか?ぶん殴りましょう。

母親の奉仕と献身を当たり前と思う精神こそが、女性に対する奉仕と献身の心を奪うのです。心を鬼にして、びしばし、息子を自分に奉仕させなさい。そうすれば、きっと、紹介した彼のように、自然に女性に対する奉仕と献身、そして尊敬の念を抱いた、新しい日本の男が誕生するはずなのです。

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プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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