「悪名」「彼岸花」

四連休、二日目。
天気よかったので、ジョギングしーの、掃除しーのしつつ、huluで映画を二本見る。

一本目は勝新太郎主演の「悪名」

はじまって五分くらい、どれが勝新かなぁって分からなかったが、そのうちに目のくりくりした可愛らしい元気いっぱいの青年がそれだと気づく。これが勝新!?いけめんやん。

まさか、この色男が数十年後、「もうパンツをはかないようにする」などと言うようになるとは、この映画公開時(1961年)誰も思いもよらなかったことでしょう。この映画は、生まれ故郷の河内から飛び出た元気者、八尾の朝吉(これが勝新)が、田宮次郎扮するモートルの貞とともに、女を助けるため、近畿一円の女達に厄介をかけながら、近畿一円を飛び回る話です。

勝新のぱっちりした二重の目で見つめられたら、女の人は母性本能をかきたてられて仕方ないようで、皆何でも頼みを聞いてしまいます。インテリヤクザという設定の割りには頭よいところは、まったく見せない貞などよりは、よほど女性達の方が朝吉の役にたっています。

勝新を助ける女性のなかには、中村玉緒もいて、劇中「あなたを一生の妻にします」の誓詞を交わすシーンは感無量。本当に可愛らしい少女が本当に重い宿業(夫婦子供四人のうち逮捕されてないのは玉緒だけ)を背負っちゃう瞬間をライブで見ることが出来ます。次々とトラブルを起こしながら、その度に女(妻)に助けられ、しかもなぜか世間からも愛されてしまう、その後の勝新の人生を暗示するような映画として是非一度御覧になることをお勧めします。

二本目は「彼岸花」
名匠、小津安二郎お得意の父娘もの。小津の作品は、決してハリウッド式の「ハイパーな映像体験に開始十秒で貴方は画面に釘付け」式のものではないのですが、最初の退屈さを我慢して見ていると、段々足元から水が満ちていくように、静かに作品世界のなかに包まれていき、気づいた時には画面の前から離れられなくなっています。

落ち着いたカメラワークのなかで、名優達の見せる台詞や所作は、二千万をかけた小道具ともあいまって、とにかく美しい。父娘の結婚話における葛藤を描いた作品でありながら、作中の家族の絆には確かなものを、そして復興期の日本の情景に強さを感じてしまうのは、はゆまが現在衰退期の日本にいるからでしょうか。

「悪名」には女親分として、「彼岸花」には娘を縁づかせようと空回りする料亭の女将をコミカルに演じる浪花千栄子も凄かった。特に「悪名」で追い詰められたシルクハットの親分の後ろから、上体を斜めに影で隠しながら、ユックリ薄笑いを浮かべつつ登場するシーンは、鳥肌が立つような迫力がありました。

まったく正反対の浪花千栄子の演技を見比べつつ、この二作を連続で見るのもお勧めです。

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プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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