中国文明の歴史〈8〉明帝国と倭寇

「中国文明の歴史〈8〉明帝国と倭寇」読了。

以前読んだ「海と帝国 (中国の歴史)」がやや難解だったのに対し、こちらは読みやすいうえ、読み物として面白かった。責任編集の三田村泰助氏は、「劉邦の宦官」執筆の際に、大変お世話になった「宦官―側近政治の構造」の著者でもある。
今回もこの本のおかげで、なかなか全容がつかみきれなかった明という時代と、その精神が分かりかけてきたような気がする。この本で得た足がかりをもとに、苦戦した「海と帝国」にもう一度挑戦してみよう。

しかし、明という時代は、その国号に反し、何かどろっとした暗い闇の部分を抱えているような気がしてならない。もちろん鄭和の大航海や、近世資本主義の勃興など明るい面もあるのだが、それも何か刑場で粛清された功臣や官僚達の血や、青ざめた首や、真っ白い脂の泡のついた胴体の断面に照りつける太陽のような、残忍さに胡坐をかいた明るさのように感じるのだ。

次代の異民族王朝だった清の、専制の暗さはありながらも、どこか颯爽とした、社会の風通しのよさと比べれば、やはり明は重く、生きづらい時代だったような気がしてならない。

余談だが、本書で出色なのは、倭寇というか日本人全般の記述。襲撃と略奪の被害はすさじいながらも、フランスのアステリックスを思わせるような、ユーモラスな蛮族として描かれている。朝貢の使者が、寧波の迎賓館で、女真人と腕力を振るって殴り合っていたというくだりでは思わず大笑いしてしまった。

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プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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