新型鳥インフル(H7N9型)と香港の思い出

中国で新型鳥インフル(H7N9型)が発生したらしい。

こういったニュースが大陸から届くたびに思い出すことがある。

それは、4年前の2009年、逆に日本の方で新型インフルがはやってたときだ。

はゆまは、プライベートライアンでたとえると一番最初に撃たれる役として香港の支社に乗り込んでいた。

プロジェクトは香港支社の業務改革。ぶっちゃけ現地スタッフからは嫌がられており、さらには現場のオペレーションを取り仕切っていた女帝からはほとんど憎悪されていた。女帝はジャッキーチェンの映画に出てくる女上司のような風貌をしていて、いつも呂后が戚婦人を見るような目つきでこちらをにらんでいた。

で、そのとき運悪く同行してた先輩が風邪気味。咳がとまらない。プロジェクトをつぶしたくて仕方ない女帝はこれに飛びついた。「新型インフルの可能性があるから」といって、当局に通報されたのだ。

すると、バイオハザードで出てきそうな重装備の特殊部隊が支社になだれ込み、あっという間に先輩は現金輸送車みたいな車に乗せて連れて行かれた。

ここから先は先輩の体験談になるが、先輩が連れて行かれた先はクイーンエリザベス病院という名前だけは豪華客船みたいなところ。ここで先輩は、羊達の沈黙で、ジョディ・フォスターが体験したような恐怖を次々に味わうことになるのである。

まず服をむかれ全身裸にされたあと、理科の実験のかえるのように表にされたり、裏にされたり、さらには床も洗えるんじゅないかという毛の硬いモップで、体中をごしごし。親にも見せたことのないような場所もごしごしごしごし。

ピーラーで皮をすっかりむかれたようになったあとは、何かすっぱい臭いのする縞々のパジャマを着させられ、ハンニバルレクタークラスが入れられそうな、病室というより牢獄みたいなところに閉じ込められた。鉄格子がついてて、トイレも外から丸見えの場所である。向かいには、明らかに頭のねじ がふっとんだ人がいて、一日中、空想のオーケストラに向かって、タクトをふり続けていたそうだ……先輩は、そんな場所に一昼夜監禁された。

幸い、新型ウィルスは発見されず、翌日先輩は解放されたが、謝罪の言葉なんて一切なし。「手間取らせやがって、馬鹿やろう」といった感じで、病院から着のみ着のままたたき出された。さらに財布・携帯といった携行品は「消毒してから帰してやる。まったく手間取らせやがって、馬鹿やろう」と、取り上げられたまま。仕方なく先輩は、いろんな意味で「汚れちゃった」体と心を抱えて、とぼとぼとぼとぼホテルまでの長い道のりを、歩いて帰ったのだった。

とまぁ、別にこれだけが理由じゃなく、その後も、泉ピン子だって憤死するという意地悪を女帝からチクチクやられ続けたせいもあって、香港プロジェクトはぽしゃってしまった。プライベートライアンでたとえると、海際で撃たれ放題されたあげく、ノルマンディーに上陸できませんでした。

今回の新型インフル発見で思うのは、香港という中国と比べたら、まだ人権意識も高く、なんだかんだいって気を使ってる日本人相手にこんだけのこと をするのである。内地でしかも同国人の感染者相手に中国政府当局はどんな調査をやっているのだろうか。手荒なことをやってなければいいが……かなり心配である。

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プロフィール

黒澤はゆま

Author:黒澤はゆま
歴史小説家。はゆまは古語で「早馬」「報せ」の意味。小説のことや歴史のこと、また日々の徒然のことを、「報せ」ていこうと思います。三国志を舞台にした小説「花武担」連載中。

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